日本造血細胞移植学会 日本造血細胞移植学会

非血縁者間臍帯血移植におけるhuman leukocyte antigen (HLA)不一致度と移植成績

研究の趣旨

造血細胞移植の実態を調査することは、わが国での造血細胞移植医療の適正な発展のために必要です。日本造血細胞移学会(JSHCT)では、平成6年から本邦における造血細胞移植の全国調査を実施して、移植件数と移植成績の把握を行ってきました。平成22年にこの登録データの利用を促進する目的で、造血細胞移植学会内に23のワーキンググループ(WG)が設置され、その一つが「HLAと移植成績」WGです。本研究はこのWG内で企画されたものです。

研究の目的

非血縁者間臍帯血移植(UCBT)は、非血縁者間骨髄移植と並び本邦内年間移植件数が1,000件を超え最も重要な幹細胞ソースの一つとしての位置づけを確立しつつあります。欧米からの小児患者を中心とした報告では、UCBTで、白血球の型であるHLA適合度が高い方が移植成績がよいという複数の報告があります。本邦では、UCBTの約80%は成人に対して行われており、そのほとんどがHLA不適合移植ですが、欧米に比べても良好な移植成績が報告されています。また、日本人においては、移植後graft-versus-host disease (GVHD)という合併症 が他の幹細胞ソース移植において欧米人に比べて低いということも知られています。
UCBTにおいて、その患者・ドナー間HLA-A, -B, -DRB1適合度(適合、1座不適合、2座不適合、3座不適合)が移植成績(主に生存)に与える影響を、輸注細胞数を加味した解析で検討し、明らかとすることを本研究の目的としています。

研究の方法

JSHCT全国調査において、既に登録された登録データを用い、後方視的に記述疫学の手法で解析を行います。
輸注細胞数が大幅に異なる小児患者、成人患者で分けた解析を実施し、HLA-A, -B, -DRの不一致抗原数による移植成績の違いを検討します。検討する移植成績としては、好中球・血小板回復、GVHD、移植関連死亡、再発、無再発生存および全死亡(全生存)とし、主評価項目は全死亡(全生存)とします。
解析方法は、競合リスクイベントがあるアウトカムの発症率はCumulative incidence法で描出し、Gray's testを用いて検定します。無再発生存および全生存に関しては、Kaplan-Meier法を用いて描出し、logrank testで検定します。多変量解析に関しては、既知のアウトカムに関するリスク因子、あるいは群間で偏りがある項目で補正した解析を行います。モデルとしてはCox modelおよび競合リスクイベントがある場合はFine and Gray's modelを用います。

研究機関

名古屋大学以外に、全国の造血細胞移植施設のデータを用います。

連絡先

本研究に関する連絡先は以下の通りです。本研究は匿名化データを使用していますので、個人情報漏洩の危険はありません。本研究における移植情報の使用に関し疑問がある方は遠慮なくご連絡下さい。

名古屋大学大学院医学系研究科 造血細胞移植情報管理・生物統計学  熱田由子
〒461-0047 愛知県名古屋市東区大幸南1-1-20
TEL: 052-719-1973
FAX: 052-719-1973