日本造血細胞移植学会 日本造血細胞移植学会

原発性骨髄線維症に対する臍帯血移植の成績

研究の趣旨

日本造血細胞移植学会の保有する匿名化登録データを用いて、我が国における原発性骨髄線維症に対する同種造血幹細胞移植(課題名は臍帯血移植となっていますが、骨髄移植と末梢血幹細胞移植も含みます)の成績を明らかにします。

研究の目的

原発性骨髄線維症に対する治療法のうち、唯一治癒が期待できる治療法として同種造血幹細胞移植があります。しかし、この病気は発症年齢の中央値が約65歳と比較的高齢であること、また従来行われてきた大量の抗癌剤や全身の放射線照射を用いる移植の対象年齢の上限がおよそ50歳であることなどから、移植を受けられるのは極一部の患者さんに限られてきました。しかし最近(特に2000年以降)、抗癌剤や放射線を減量して移植を行う方法が普及し、移植を受ける原発性骨髄線維症の患者さんの数が世界的に増えてきました。既に、欧米各国からは原発性骨髄線維症に対する移植成績の解析結果が報告されていますが、残念なことに我が国の移植成績についてまとまった報告は未だありません。
そこで、日本造血細胞移植学会が保有する原発性骨髄線維症に対する移植臨床データ(移植した造血幹細胞の種類、移植法、生着の有無、移植合併症の有無、再発の有無、生存期間など)を統計学的な手法を用いて解析し、我が国における原発性骨髄線維症に対する移植成績を明らかにすることを目的として、この研究を計画しました。今回の研究成果は、この病気に対する移植治療の位置づけを明確にし、また移植成績向上のための基礎を築くことができるものと考えています。そしてこの病気の患者さんの予後の向上に寄与することを目指しています。

研究の方法

日本造血細胞移植学会データセンターには毎年全国調査されたデータが蓄積されており、既に5万人を超える移植患者さんの臨床データが納められています。日本造血細胞移植学会・平成22年度全国調査報告書によれば、2009年までに我が国で同種造血幹細胞移植を受けた原発性骨髄線維症の患者さんは97人であり、それらの臨床データはこのデータベースの中に存在します。該当する臨床データの抽出は学会データセンターによって行われます。また必要に応じて学会データセンターによりデータが追加収集されることもあります。それらのデータは、我々研究者に送られます。我々研究者は少しでも信頼性の高い解析結果を得るため、臨床データが不十分な患者さんを解析対象から除外することもあり、実際の解析対象人数はこれより減少する可能性があります。そして、対象となる臨床データについて統計学的手法を用いて解析します。具体的には、背景因子などを集計してまとめ、χ2 乗検定、Fisher 検定、Mann-Whitney 検定などにより群間比較を行い、cumulative incidence 法、Kaplan-Meier 法などにより生着率、GVHD 発症率、治療関連死亡率、生存率などを求めます。またLogrank法などでサブグループ毎にそれらを比較したり、competing risk regression analysis、Cox 比例ハザードモデルなどを用いて多変量解析を行ったりします。
この一連の作業の中で、患者さん本人にお願いする作業は何もありません。
全ての作業は、日本造血細胞移植学会や我々研究者が行います。また、この研究は既に行われた治療の結果を過去に遡って調べる研究であり(後ろ向き研究と言います)、これから行われる治療に介入することは一切ありませんので、この研究が患者さんに危険や不利益を与えることはありません。

研究機関

研究(統計解析)は名古屋大学医学部附属病院血液内科で行います。日本造血細胞移植学会に所属する全国の移植施設のうち、原発性骨髄線維症患者さんの移植を実施した施設も共同研究機関ということになりますが、学会から研究者(名古屋大学)には匿名化されたデータが提供されるため、どの移植施設の移植患者さんであるかを研究者は把握することはできません。

連絡先

本研究に関する連絡先は以下の通りです。本研究は匿名化データを使用していますので、個人情報漏洩の危険はありません。本研究に疑問のある方は遠慮無く御連絡下さい。

平成24年12月20日
(平成25年5月16日 一部修正)

名古屋大学医学部附属病院 血液内科
村田 誠
〒466-8550
愛知県名古屋市昭和区鶴舞町65
Tel:052-741-2111、Fax:052-744-2161